子どもたちが心身ともにすこやかに育っていくには、その家庭環境が大きな役割を担います。
内戦の影響で30代以上の男性が少ないカンボジア社会では女性が生計を支えているケースも少なくなく、とりわけ母親の存在がとても重要となります。
学んだ技術を活かして織物で生計を支える女性
そんなカンボジアで、家庭環境を充実させるアプローチとして私たちが選んだのは、女性たちに「伝統織物」の技術を教え、経済的な自立を促すこと。そして、誇りの持てる仕事を身に付けてもらうこと。
都市部以外は二次、三次産業がほとんどないカンボジアでは、農閑期の合間に行う機織りが、昔から貴重な収入補完手段でした。
特に絹絣(かすり)は、主要な輸出産品であり、周辺諸国にも大きな影響を与えたほどでした。
しかし、その技術も内戦によって伝承が難しくなり、機織り機なども失われてしまいました。
今、製造工場などの働き口が少しずつ増え始めましたが、それでも圧倒的に仕事がないのが現状です。
私たちは技術を教えるだけでなく、織物で収入を得られるような仕組みづくり(仕事の創出)にも取り組んでいます。
→おかげさまをもちまして、本事業は2019年度で終了しました。温かいご支援、本当にありがとうございました!
織物経験者を対象にした、技術を高める研修。
絣(かすり)の新柄や、自分でオリジナルの絣柄を設計する方法を教えます。
希望する村に出向いてお寺などを借りてワークショップを開きます。
2011年度は10日間の研修を3回、2012年度は5日間の研修を6回行います。
技術を学んだあとの市場での販売価格は、平均で1.2倍アップしています。
カンボジア織物の最高峰である絹地の絵絣(えがすり)、ピダン。
仏教の古代説話や宇宙観、精神世界などを描いた、緻密な絵物語のタペストリーです。
内戦前、人々はお寺にピダンを奉納し、お盆、結婚式、葬式などの時に飾ったり、個人の家でも仏教儀礼用に飾ったりしました。
残念なことに、多くの織り手が内戦で命を落とし、アンティーク品は海外に流出してしまい、図案もほとんど残っていないため、ピダンを織れる人が、今ではあまりいません。
私たちは、ピダンを織れる貴重な人材をスタッフに迎え、カンボジア手織りの伝統と技術の奥深さが凝縮された、このピダンづくりの基礎と実践を学ぶ3カ月の研修を行っています。
ピダンは高値で取引されるため、技術を身に付けることは収入増に直結します。
プノンペンから車で1時間半ほどのところにあるタケオ州は、昔から織物がさかんな地域。
私たちは、ここに織物研修センターを構え、需要を反映させたプログラムで短期の研修を行っています。
コース例
・スカーフづくり
・異素材を組み合わせた織り
私たちは、ピダンを織れる貴重な人材をスタッフに迎え、
カンボジア手織りの伝統と技術の奥深さが凝縮された、このピダンづくりの基礎と実践を学ぶ
3カ月の研修を行っています。
ピダンは高値で取引されるため、技術を身に付けることは収入増に直結します。
2005年7月 2日