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認定NPO法人 幼い難民を考える会 caring for young refugees / CYR
CYRカンボジア
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   今回は、モニタリング研修を行なっている保育アドバイザー、ウム・ソパニーさんに、コロナ禍における家庭での保育活動について、保育者へのアドバイスの内容や、子どもの成長のために必要なことなどをお話しいただきました。ソパニーさんは、『子どもたちの明日』40周年記念特別号(2021年1月発行)でもお伝えしておりますが、教育省幼児教育局で長年にわたって幼児教育政策に携わってきた専門家です。

家庭での保育活動のカリキュラム・教材作りを始めた経緯

 2021年5月28日、幼児教育の遠隔的な実施およびオンライン学習について、教育・青少年・スポーツ省から指示が出され、新型コロナウイルスの感染拡大に伴い、遠隔で学ぶ子どもたちの支援をすることになりました。地方村落では、電子機器やインターネットを十分に持っていない保護者も多く、電子機器を持っていてもその使い方が分からない、あるいは電気のない家もあります。そこで、コンポンチュナン州や郡の教育局幼児教員担当者と協力して、国語(クメール語)、数、自然の仕組み、カンボジアの行事や図画工作の4科目について、保護者が家庭で子どもに教えられるように、1週間ごとの教育カリキュラムと教材を作成することになりました。

モニタリング研修を通した保育者へのアドバイス

 毎月のモニタリングでは、保護者をサポートする保育者に対してアドバイスしています。たとえば、教材は、はっきり、ゆっくりと教えるようにと伝える。文字や数字を覚えたり、数を数えたり、文字に色を塗るといったレッスンでは、書く順序を正確にする。数字を教えるときには、教材に描かれた絵と点の数を数えてから、その数字が何であるかを伝える、などを指導しました。また、子どもが言葉を間違えたら、そのままにせず、すぐに訂正してあげるよう、保護者に伝えてもらいました。  そして、1週間に1度、科目ごとに保護者にテストをしてもらっていますが、翌週からの保育をより良くするために、子どもの良いところ、足りないところが分かるように採点するよう伝えています。 8 IMG_9646.JPG

家庭での保育活動の良い点と課題

 良い点は、保護者が一生懸命教えることで、以前よりも子どもとの関係が親密になった家庭が見られることです。また、週に1度ミーティングを開いているのですが、どんなに忙しくても出席してくれたり、遠い職場から教材を取りにきてくれたりする保護者もいます。保護者が子どもにテストをすることで、教え方について考え直したり、子どもの教育に対する責任感を持つようにもなります。  しかし、仕事優先でミーティングに参加しない保護者もいます。その場合には保育者が家庭訪問をすることにしました。また、子どもの学びに対する理解が不十分だったり、教えるのは先生の義務だと考えている保護者もいます。それは、子どもたちの成長について十分な知識と理解を持っていない保護者が多いからでしょう。たとえば、心身の健康や言語の発達をはじめ、年齢に応じて能力を最大限引き出せるようなサポート方法についても、あまり知られていません。こうした課題が、モニタリングを通して見えてきました。

子どもたちの成長に必要な取り組み

 周りの大人が皆で子どもを支えることが大切です。幼稚園の先生は、カリキュラムに沿って教材を十分にそろえ、子どもたちが自分の意見を持てるよう、何事にもチャレンジする意欲を持てるように導いてあげ、そして、子どもたち同士が協力し合う機会を作る必要がありますが、子どもたちの成長を促すためには、さらに、家族、コミュニティ、幼児教育に取り組む関係者たちとも良い関係を築かなければなりません。特に保護者に対しては、今後も、幼児教育の重要性や、年齢に応じた成長について説明しながら、家庭での保育方法を根気強く伝えていく必要があるでしょう。
   このように、定期的なモニタリングの実施によって、家庭での保育活動を「村の幼稚園」の保育者が支えながら、子どもたちの成長のためにより良い方法を提示しています。また、モニタリングを通して明らかになってきた課題に対しても、保育者、保護者、コミュニティ等が協力し合って、一つ一つ取り組み、子どもたちの成長を支えていこうとしています。

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