認定NPO法人 幼い難民を考える会
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認定NPO法人 幼い難民を考える会 caring for young refugees / CYR
CYRカンボジア
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 「村の幼稚園」の保育者は、村の住民から選ばれ、保育の専門知識があるわけではありません。そこで、CYK/CYRでは、毎月、保育事業アドバイザーと調整員等が保育者に対してモニタリング研修をおこなって、保育能力の向上を支援しています。この研修は、他の公立幼稚園や地域幼稚園では実施していないCYK/CYR特有の活動です。
今回は、コンポンチュナン州プロスネップ村の幼稚園のマーチ・パウ先生にうかがった、研修での学びと、それを活かした実践を通して子どもたちがどのように成長しているかについて、インタビュー形式でお伝えいたします。
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研修で学んでいること

 研修では、保育のスキルはもちろんのこと、子どもの成長を促す教材の作り方や、科目ごとの教え方の工夫といった活動にかかわること、日案や保育向上に向けた年次計画作り、活動報告書の作成などの事務作業、そして、保護者たちのグループの創り方といったコミュニティとの関わりについてまで学んでいます。保育の専門教育を受けていない教師にとって、研修の全てが保育活動に大切で、非常に役立っています。
 保育のスキルとは、例えば、両親の言うことを聞かない子、短気な子、貧富の差や肌の色の違いを気にする子、頑固な子などに対して、どのように接したら心身ともに成長できるかを学んでいます。また、子どもたちが騒いだり、眠くてぐずってしまう時は、先生の傍に呼び寄せて落ち着かせたり、教室の中に子どもたちが触れて学べる自然や理科のコーナーや読み書きのコーナーを作っておいて興味を向けさせたりします。
 また、幼稚園には絵本がたくさんあり、アドバイザーから、子どもが絵を見やすい持ち方を指導してもらいました。すると、子どもたちは、ストーリーに最初から最後まで耳を傾け、背を向けずに興味をもって聞いてくれるようになりました。そして、先生が読み終わると、それまでじっと聞いていた子どもたちが物語について話し始めたりします。

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子どもたちに見られる変化

 研修で学んだことを活かせているからか、子どもたちが先生の話をよく聞いてくれるようになりました。登園して教室に入る前、外遊びや休み時間の後で教室に戻る時、食事の前、トイレから出た後には、必ず手を洗って清潔にしてくれますし、幼稚園にお客さんを迎えた時などはとても礼儀正しいです。子どもたち同士で遊ぶ時も、これまで一緒に遊べなかったり友だちを罵ってしまっていた子も、遊具を共有して仲良く遊ぶことができるようになりました。  また、以前は、保護者が子どもの言う通りに何でも欲しがるものをあげていたので、入園当初、遊具を友だちと一緒に使えなかったり、先生の話を聞いてくれない子がいました。しかし、先生が研修で受けた保育のスキルを活かし、折に触れて丁寧に説明をしていくなかで、彼は状況を受け入れることを学び、友だちと仲良く遊んだり、自分がやりたくても待てるようになったのです。また、間違いをして諭されても、その理由をきちんと聞くことができるようになりました。

アドバイザーから褒められたこと

 やはり、子どもたちが先生の言うことをよく聞いていると褒められました。先ほどの話の続きになりますが、つまり、子どもたちの習慣が変わってきたのでしょうね。以前は、内気で、何をするにも勇気がなく、人とあまり話さないような子が、先生や友だちとの学びを通して、いろいろなことに勇気をもって取り組めるようになりました。はっきりと自分の意思を伝える友だちとも話せるようになりました。
 それから、アドバイザーから、自分だったら2~3人の子どもを見るだけでも頭を抱えるほど大変なのに、幼稚園の先生は20~30人も見ているのだから、本当に素晴らしいと褒められました。

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より良い保育に向けてのアドバイス

 プロスネップ幼稚園は、2021年3月にCYK/CYRの支援が終了し、自主運営に移行しました。その時、支援により得られた経験や実績をもとに、保育士、幼稚園の運営委員会、コミュニティが良好な関係を保って、協力して運営するように言われました。本当は、CYK/CYRの支援が終了してしまったのはとても残念で、今でも恋しいです。けれども、しっかりと信頼関係を築かせてもらって、多くのことを学んだので、今、自信をもって、コミュニティとも関係を保ちながら、一生懸命仕事に取り組んでいます。

研修への思い

 研修は、保育活動を続けていく力や自信につながっています。もし研修の機会がなければ、子どもたちと向き合って困難に直面するたびに、路頭に迷っていたでしょう。今こうして頑張っていられるのも、CYK/CYRが用意してくれた研修から学んだスキルに基づいています。CYK/CYRがいてくれなければ、今日の私はなかったと思っています。  
インタビューを通して、モニタリング研修の積み重ねによって、パウ先生をはじめ保育者の保育能力が向上することはもちろん、子どもたちの行動や発言に具体的な変化が見られることが分かります。そして、子どもの成長を感じながら、保育者が自信をもって「村の幼稚園」の仕事を続けていこうとしていることが伝わってきました。

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