ハンドブックの内容を見直す
研修の様子
長年使用してきた
「保育ハンドブック」復刻版がついに登場!
CYRは、タイのカンボジア難民キャンプで1992年に出版した「保育ハンドブック」の内容を見直し、復刻印刷しました。このハンドブックは、当時難民だったカンボジア人やCYRの活動に携わった保育者などが、保育者研修や育児用として作成したものです。以来多くの人に利用され、評価されてきました。今回の復刻作業では、オリジナルの内容を大切にしつつ、現代の言葉や習慣に合わせました。
■コツコツと内容を見直す
カンボジアは、内戦の影響で言葉づかいや表記が大きく変わったため、内戦時代にCYRが製作した「保育のハンドブック」を、現状に合わせたものに修正する必要がありました。また、製作当時は多くの人が関わったために、バラバラだった全体の表記を統一したことも目的のひとつです。
はじめに、東京外国語大学の客室教員(プノンペン大学文学部教授)の協力を得て、保育ハンドブックの表記を確認していただきました。2005年6月、カンボジア事務所の職員である日本人保育専門家と保育アドバイザーが日本に来て、客室教員と打合せを行いました。
客室教員が修正・追加した文書は、その後、カンボジアで保育アドバイザーがタイプ打ちをしました。キャンプ時代に製作したハンドブックのデータ原稿は残っていないためです。それから何度も文書の校正を繰り返しました。
同時に、ハンドブックの写真やイラスト選びも行いました。写真が残っていないものは、カンボジア事務所で似たような写真を探したり、昔のハンドブックをそのまま利用してデータ化しました。とても骨のおれる作業です。
■そして印刷!
写真やイラストを入れ、文書の校正を繰り返し、ついに2006年3月に2000部を印刷しました。完成した復刻版の「保育ハンドブック」は、早速保育者研修で配布・活用し、とても喜ばれました。今後、保育者研修等で役立てていきます。
■ こんなに使える、ハンドブック
カンボジアにおいて、「保育ハンドブック」を保育者や保護者が手にすることは、幼児期の子どもの成長や発達への基本的な理解を助け、より良い育児や保育を広めることができます。特にこのハンドブックは、製作当初から難民キャンプだけで通用するものではなく、キャンプを離れ、村で暮らすようになった母親や保育者を支援することも視野に入れて作られました。そのため現在でも使える「保育ハンドブック」として充分価値があり、子どもの可能性の芽を摘むことなくどう支えていったらよいか書かれてある点でとても役に立ちます。
このハンドブックは、文書に合わせて写真やイラストを多様しています。これで文字の読み書きが得意でない人も、目で見て理解することができます。
今後、CYRが教育省と協力して実施するカンダール州、クラチエ州の公立幼稚園の研修や、運営に協力する農村・都市の貧困地域の保育所の保育者や保護者を対象とした研修で活用していく予定です。また、今年度は貧困家庭の家庭訪問を実施する予定ですが、その中でハンドブックの利用が有効であると判断されたケースや、保護者会などを通して必要があれば活用していきます。
■ 本当に受け入れてもらうために
単に「保育ハンドブック」を保育者や保護者に配布するだけでは受入れられません。そのため、基本的には研修を通じてハンドブックの目的や内容を伝えながら配布、活用していきます。遊具・教材の作り方については理解を得やすいので、その目的や背景も認識できるよう、ハンドブックを利用して働きかけていきたいと考えています。
*この事業は、東京都の助成を得て行われました
2006年4月24日