教材で遊ぶ子ども
プラエタミア幼稚園
NGOの事業活動でも、ある程度のところで成果の見直しを行い、活動内容を修正する必要があります。カンボジア政府からの要請を受けて開始した、カンダール州の保育者人材育成への協力も例外ではありません。2006年5月、6月に昨年の評価として再訪問した2つの幼稚園についてご報告します。
(1)カンダール州ロビンアエム郡クマエアマタ幼稚園
クマエアマタ幼稚園は2005年8月15日に研修を行った園ですが、特に研修の実務をパートナーである州教育局幼児教育局事務局長サウ・チャンターさんに任せ、日本人スタッフは補足する立場に回って「カンボジア人によるカンボジア幼児教育研修」のスタートとなった幼稚園でした。
2006年6月にフォローアップとして再訪問したところ、配布した教材類はダンボールを利用してきれいに保管され、あまり使われていない感じもありましたが、3歳児クラスの先生は熱心で、工夫して教材を使っているように見受けられました。たとえば、メモリーカードは記憶遊びのための教材ですが、カルタのように使われていました。一方、先生方が得意でないために竹馬はほとんど使われていない様子でした。
郡の担当者は言いました。「何もなかった幼稚園にCYRから遊具・教材が配られ、お陰で子どもたちも能力を発揮することができ、小学校からも誉められている」州と郡の協力関係がスムーズに行っていることがうかがわれました。
幼稚園の子どもたちが少ないことを質問しましたが、「子どもを生まなくなった」と答えがあり、カンボジアも少しずつ変化していると感じさせられました。
(2)カンダール州クサッチカンダール郡プラエタミア幼稚園
6月7日には、プラエタミア幼稚園の評価に訪れました。
残念ながら、ここの先生たちには研修の成果があまり感じられませんでした。教材が十分に使われていないので、子どもたちの反応からもはっきり見てとれます。教材類の保管場所も適当ではありません。
今回は時間に余裕があったので、先生たちと話し合いが行われ、サウ・チャンターさんが珍しく厳しい口調でコメントしていました。
ミーティングに参加していた小学校の校長先生は言います。
「研修の成果があがらない原因として考えられるのは、手当ての問題。小学校から幼稚園から移れば、校内研修手当てがないために、小学校から移動した先生はやる気がなくなってしまう」。
この地域の生活はとても不安定で、そのことが子どもたちにも影響を与えています。CYRは、6月末に再評価のためにもう1度訪問することになりました。
2006年6月20日