「みんなで布チョッキン」 幼稚園子ども1500人へ届く
「みんなで布チョッキン」
カンダール州、幼稚園の子ども1500人へ届 ~手づくり遊具が幼稚園を変える~
カンダール州
保育者研修の様子
保育者研修の様子
研修を受ける先生たち
先生方の中には今までに保育研修を受けたことがない人もたくさんいます
教材作りを実践
研修最終日
布ボール
人形
(写真:小林正典)
カンボジアの公立幼稚園。日本で見られるようなブランコやシーソーなどは
ほとんどありません。保育室には先生が作ったものが壁に貼られているだけで、
子どもが自由に取り出して遊べるような遊具は非常に限られています。
幼い難民を考える会(CYR)は、カンダール州教育局の要請を受けて、すべての
公立幼稚園の先生を対象とした巡回保育研修を行っています。
研修を通じて、教材や遊具を配布し、その作り方と使い方を先生たちに伝えています。研修では、「みんなで布チョッキン」で日本から届いた布パーツを使用しました。
■概要と研修の流れ
実施日 :2006年9月26日~29日
参加者 :43名
場 所 :カンダール州教育局会議室
研修内容:遊具・教材作り、その目的・使い方の実践指導
①保育研修の様子
教育省の担当者が、遊具の使い方や目的を幼稚園の先生たちへ伝えます。CYRは、カンボジアの人が研修を実施できるよう、研修指導の方法も伝えています。
②説明後
遊具の説明を受けた後、先生たちは教材作りを実践します。
こうして先生たちが作り方を覚えることで、遊具が壊れたときに直したり、
数を増やしたりすることができます。
③研修最終日
最終日、4日間に及ぶ遊具の使い方・目的・作り方の研修を終えた各公立幼稚園へ、遊具・教材一式をプレゼントしました。
④布ボールと人形
日本から届いた布で作ったボールと人形。どれをとっても同じものがなく、カラフルで個性的です。これらの完成した遊具を使って保育研修が行われます。
⑤遊び方を教える
研修を受けた先生たちが、子どもたちに遊び方を教えます。
1つひとつに心が込められた遊具は、いつまでも子どもたちに大切に使われるでしょう。
■研修参加者の声
研究指導者、サウ・チャンターさん
(カンダール州教育局幼稚園局事務局長)
「以前は保育研修といっても教材もなく、ただ理論を学ぶだけでしたが、先生たちが教材を実際に手に取ることで、その使い方や目的を実体験として学ぶことができました。
私自身も研究指導ができるようになり、自分自身に誇りをもつようになりました。今までなかった知識や体験が身についたことはとても嬉しいです。」
コン・ソクティア先生
(スダウ・コンラーイ公立幼稚園)
「これまで、幼稚園には先生が書いた教材とやしぽっくりしかありませんでした。この研修で教材をもらえることで、子どもたちにとって幼稚園に通うことが魅力となるし、初めて幼稚園に通い出した子が家に帰りたがらなくなります。
今困っていることは、お寺の中に幼稚園があるのだけど、そのお寺から出て行くように言われていることです。126人の子どもたちはその後の行き先がありません。教材も自分たちで増やしたいのですが、予算がなくて難しいです。日本からの布は新品で質がとてもよく、丈夫なのでありがたいです。」
ンゲン・ピー先生
(ワット・コー公立幼稚園)
「今日は、教材(ボール)の作り方を学ぶためにこのワークショップに参加しました。そうすれば幼稚園で作れるし、増やすことができるからうれしい。子どもたちにグループでのボールの遊び方を伝えたらとても楽しく遊べます。保護者からの評判も上がって、幼稚園に対する理解を示してくれると思います。今困っていること?それは公務員のお給料が低いことです。」