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カンボジア事務所インターンシップ報告 06年10月~12月

豊 安里(とよあんり)さん カンボジアでのインターンシップ報告

06年10月1日から12月11日までの2ヶ月半。CYRカンボジア事務所(以下CYK)では、インターンシップとして東京外国語大学の学生の受け入れを行いました。翻訳やインタビュー調査への同行・通訳など、カンボジア語を使って活躍した豊安里さん。インターンとしての体験をご報告いただきました。


 


家庭訪問したお宅

家庭訪問したお宅

都市部のスラム

都市部のスラム

ワークショップにて

ワークショップにて

むし歯予防の取組み

むし歯予防の取組み

現地の先生方との認識の違いに苦しむことも

現地の先生方との認識の違いに苦しむことも

心を開いてくれた子ども

心を開いてくれた子ども

コミュニケーションの大切さを実感

コミュニケーションの大切さを実感

東京外国語大学
カンボジア語専攻4年
豊 安里

06年10月1日から12月11日までの2ヵ月半、CYKで行わせていただいたインターンシップの報告をいたします。
まずはじめに、学生であり経験も知識もない私に、様々な経験と機会を与えてくださったCYK、CYRの皆様に心よりお礼申し上げます。とりわけCYKの皆様にはご迷惑をおかけしたかと思いますが、大変親切にしていただき多くのことを教えていただきました。仕事以外でも家に招いてくださったり、遊びに連れて行ってくださったりと本当に親切にしていただきました。本当にありがとうございました。

CYKでのインターン内容は保育事業のお手伝いが主でした。日本語からカンボジア語への絵本の翻訳や、都市部の子どもたちの家庭訪問調査への同行・インタビュー、バンキアン・プレイタトウ保育所での先生方や委員会の方々とのワークショップや話し合いへの参加、このほかにも織物事業のお手伝いとして織物研修生徒・卒業生へのインタビューもやらせていただきました。何の知識も経験もない私をCYKの活動ほとんどに参加させていただきました。

実際にCYKでインターンをするまでは、NGOに対する憧れと国際協力に関わりたいという思いだけが強く、NGOがどのように活動をしているのか、どういった風に支援を行っているのかということが全く分かっていませんでした。しかしこのインターンを通じて生のNGOの姿、援助の難しさ、国際協力のあり方を知ることができ、そして自分にできるNGOとの関わり方、国際協力を考えるようになりました。

実際に現場で活動させていただいて感じたことがいくつかあります。

一つ目は、都市部の子どもたちの現状の厳しさです。日本にいる時からわかっていたつもりだったのですが、実際に家庭訪問調査に同行させていただいて、こんなにも酷い状況にあるということに驚き、そして「何をすればよいのだろう、自分に何ができるのだろう」という疑問を持つようになりました。やはり頭の中でだけ想像する子どもたちの状況と実際に自分の目で見る状況は全く違います。「何かしなければ」と本当に心の底から感じました。

家庭訪問ではほとんどの家庭で、食べ物が足りていないということが目に見えて明らかでした。インタビューを行う中で、生活苦から涙を流す方々も少なくありませんでした。そのような光景を目の当たりにし、何をすればよいのかと何をするべきなのかと自問自答の日々でした。

よくテレビや大学の授業、本などで「自立支援が大切である」といったことを聞きますが、日々生きていくこと食べていくことが大変な状況にある人々に、「自立してもらうための支援」を行って自立することを考えてもらうことは難しいのではないかと感じました。そういった方々にとっては子どもたちを学校に行かせるよりも、自分達が自立していく事よりもその日に食べる物を得るほうが大事なのです。

自立支援、継続可能な支援ということが大切であるということは本当にその通りであり私も同感なのですが、家庭訪問を実際に行ってみて本当に緊急で深刻な状態にある方々にこのような支援を行うのは難しいのではないのだろうか、それよりも生きていくための食べ物の援助が必要なのではないのだろうかと感じました。

しかし、すべてを与えるだけの支援には疑問を覚えます。与えっぱなしの支援は簡単かもしれませんが、それこそ人々の働く気持ちさえ奪うことになってしまうと感じました。家庭訪問を行った地区の方々は、全ての方が口をそろえて「仕事がしたい、でも仕事が無い」と言っていました。与えっぱなしの支援ではなく住民が何かの形で参加し、それで食料を得ることができるような支援でいて可能なもの。この問いを結局私は見つけることができないままにインターンを終えてしまいました。この地区には朝ごはんを提供する事になったということを後で伺いましたが、これから残りの大学生活とそして将来教師になってからも、何かの形でこの事業に関わっていきたい、関わっていければと思っています。

次に私が感じたことは援助の難しさです。私は主に保育事業のお手伝いをさせていただいていたのですが、本当に援助の難しさを実感しました。インターン前は、CYRのニュースレターや東京事務所の方から、バンキアン・プレイタトウ保育所の自主運営がほぼ現地の方々への橋渡し段階に来ているということを伺っていました。10年前からの継続して行われてきた支援が現地の方々への手に渡る、つまり自立する段階に来ていると認識しておりました。

しかし、実際に現地で活動に参加してみて現場を見てみて、またスタッフの山極さんとのお話の中で、現地の人が自立して運営していくのはまだまだ難しいと実感しました。自主運営に向けての貸付制度や委員会といった組織は確かに現地の方々の中で動いていました。しかし、それがその方々主体で動いていっていないと感じました。委員会は発足しているのですが、自分達で活動していこうという気持ちがないように見えました。CYKから何かを言われれば動くという感じです。私がいた2ヶ月半の期間でさえも、全面的に現地の方に任せて委員会として活動してもらおうとこちらが一歩引くと、そのまま何もせずという風になってしまったことも少なくありませんでした。

自立にむけての支援を行って、その方法を提示しても当事者が「自分達でやっていこう、動いていこう」という自発的な姿勢を持たなければ変わらないのではないかと強く感じました。ここに支援の難しさを感じました。どうすれば自発的に動いてもらえるのか、どうすれば意識を変えてもらえるのか、こういったことを考えていましたが、それはやはり支援を受ける方々の気持ちの問題です。自立支援を行いその方法が定着しても、その支援を受けている方々の意識が変わらなければ本当に自立することは難しいと実感しました。 また援助を行う上での認識の違いというものにも難しさを感じました。CYKが思う援助の必要性が相手にはまったく通じていない、CYKが活動しているときは理解しているのですがいったんCYKが手を引くとそれを自分のこととして考えられない、こういったことが度々ありました。

例えば「虫歯予防の歯磨き」です。虫歯になっても歯医者に行くことのできない村の子どもたちに歯磨きを徹底させようと、こちらがワークショップを行ったり歯ブラシを配布しても、その時限りで終わってしまうのです。保育園では歯磨きをしていても、それが子どもたちの家庭では定着していません。保護者の方も、ワークショップでは理解を示すのですがそれが自分達のこととして捉えられないのです。一度家庭に帰ってしまえばもう終わりです。CYKが考える子どもの虫歯予防の大切さと、村の方々(当事者)が考える虫歯予防についての認識が違いすぎるのです。

他にも、先生方とCYKでの保育所の環境整備の認識、保育教材についての認識などに違いが見られました。当事者の方々とCYKが考える支援の認識が違うから、それがなかなか定着しないのです。ではどうやってその支援の必要性をわかってもらうのか。それをわかってもらうためにワークショップを行ったりするのですが、それがなかなか定着しないということは、やはり当事者の方々がその支援を身近なこととして捉えられていない、自分のこととして考えていない、その支援に必要性を感じていないからなのではないでしょうか。援助に対する認識の違い、これはその支援が根付いていくうえで重要な問題であるということを実感しました。

この他に感じたことがコミュニケーションの大切さです。現地の方とコミュニケーションを取るときに、カンボジア語を話そうとすると相手は心を開いてくれると感じました。これは「カンボジア語が話せればいい」ということではなく、相手のこと、例えば言語や文化を敬い受け入れる姿勢があるかどうかということです。スタッフの方々はもちろんですが、様々な活動地で出会った方々と交わす会話の中でもそう感じました。相手の言語で話そう、わかろうとする姿勢を持っていると、相手の方が心を開いてくれ信頼関係が生まれると強く感じました。

私は完璧に話せて理解できたわけではないのですが、それでもカンボジア人スタッフをはじめ村の方も私に心を開いてくださっているなと感じました。村の先生の家に伺ったときに、先生のお母様が私を呼んで二人でお茶を飲みながらいろいろなお話をしたこともあります。スタッフの関口さん、山極さんと一緒に活動させていただいた中でもそう感じました。関口さんも山極さんも、カンボジア語を使いながら現地スタッフ、また支援地の方々とコミュニケーションを取られていました。本音を話すからこその衝突などもありましたが、それでもやはりお互いに心を開いてコミュニケーションを取り合うことは信頼関係を築いて支援を行っていくうえで重要なことだと実感しました。

また、このインターンシップを通してこれから私ができること、そしてやるべきことを考えるようになりました。インターンをする前から、「教員になって自分の体験として感じてきたことを将来の生徒に伝えてきたい」という思いはありました。しかし、インターンを終えた今、私が体験してきたことをただ伝えるだけでなくどう伝えていくのかという事を考えるようになりました。私の伝え方ひとつで、受ける側が考えることが違ってきます。私が伝えたことで、それを聞いた方々が一緒にカンボジアの子どもたちについて考えていけるよう、問題意識を持ち小さくても何か行動を起こしていきたくなるように、もっと自分の知識を身につけていこうと思っています。私が直接現地でお手伝いできなくても、教員になって伝えていくことで何か協力していけることがあると感じています。

インターン期間中は、自分の知識の無さ経験の足りなさを痛いほど実感しました。ですから、このインターンという貴重な経験を終えた今、この経験を無駄にしないよう多くの方に伝えていけるようもっと自分の知識を身につけていこうと思っています。そして、これからの残りの大学生活そして将来教員になってからも、募金やボランティアといった形で私ができるお手伝いでカンボジアの人々・子どもたちとずっと関わっていきたいと思っています。

最後になりましたが、何もわからない私に丁寧にご指導くださった関口さん、知識も経験も何もない私にあらゆる経験をさせてくださった山極さん、いつも暖かく接してくださったCYKの皆様、私のインターンシップを引き受けてくださったCYRの皆様に心よりお礼申し上げます。本当にありがとうございました。

2007年3月30日


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